価格設定で決める数字は4つ
宿泊単価だけを上げ下げしても、手取りは思ったほど動きません。次の4つをセットで決めてください。
| 決める数字 | 効くところ | 置き方の目安 |
|---|---|---|
| 基本料金(1泊) | 売上に直結。上げた分はほぼそのまま手取りに乗る | 近隣の同じ間取り・同じ定員の宿を見て、レビュー数が自分と近い宿に合わせる |
| 最低宿泊日数 | 清掃の回数と、1組あたりの売上 | 繁忙期は2泊以上にして回転を落とす。閑散期は1泊可にして埋める |
| 連泊割引 | 平均泊数。清掃費が効いてくる部分 | 3泊以上で数%など。割引しても清掃が1回で済めば手取りは増えることがある |
| 清掃料金 | 総額の見え方。検索結果の表示価格に影響する | 1泊あたりの表示を安く見せたいなら清掃料金に寄せる。ただし1泊の予約では割高に見える |
宿泊料と清掃料をどう配分するかで、同じ総額でも見え方が変わります。1泊利用が多い立地なら宿泊料に寄せ、連泊が多い立地なら清掃料に寄せたほうが選ばれやすくなります。費用の構造は民泊の収支シミュレーションの作り方にまとめています。
福岡で単価を上げられる時期
福岡の宿泊需要には、はっきりした山があります。この時期は価格を上げても埋まります。逆にここで通常料金のまま置いておくと、年間の売上を取り逃がします。
| 時期 | 需要の中身 | やること |
|---|---|---|
| 3月〜4月上旬 | 桜。花見の時期は市内の宿が一斉に埋まる | 2か月前から価格を上げる。最低2泊に |
| 4月末〜5月初め | 大型連休。連泊の予約が入りやすい | 最低宿泊日数を上げて回転を落とす |
| 5月 | 博多どんたく。市内中心部の需要が跳ねる | 日程が決まり次第、当該日だけ単独で上げる |
| 7月 | 博多祇園山笠。追い山の前後に集中する | 山の日程を軸に前後数日をまとめて上げる |
| 7月下旬〜8月 | 夏休み。家族連れの長期滞在が増える | 連泊割引を弱め、定員の多い設定を活かす |
| 10月〜11月 | 紅葉と秋の行楽 | 平日も含めて底上げする |
| 年末年始 | 帰省と旅行が重なる。1年でいちばん強い | 11月のうちに価格と清掃体制を固める |
注意点が1つあります。住宅宿泊事業法の届出で営業している場合、泊められるのは年間180日までです。つまり価格を上げられる時期に枠を使えるかどうかが、年間の売上を決めます。閑散期に安売りして180日を使い切ってしまうと、本来いちばん稼げる時期に枠が残りません。180日の数え方は福岡で民泊を始めるにはにまとめています。
繁忙期に価格を上げても、清掃が回らなければ受けられません。同じ日に複数件のチェックアウトが重なるのが繁忙期の実態です(民泊の繁忙期に清掃が止まらない体制の作り方)。
連泊が伸びると手取りが増える
清掃費は予約1組につき1回かかります。泊数ではありません。ここが価格設定でいちばん使える性質です。
- 平均2泊の宿が平均3泊になると
- 同じ180日を売っても、清掃の回数は90回から60回に減ります。清掃費が1回7,000円なら、年間で21万円の差になります
- だから連泊割引は損ではない
- 3泊以上に数%の割引をつけても、清掃が1回で済めば手取りが増える場合があります。割引率と清掃費を並べて計算してから決めてください
- 最低宿泊日数は時期で変える
- 繁忙期は2泊以上にして1組あたりの売上を上げる。閑散期は1泊可にして空室を減らす。年間を通して同じ設定にしないことです
連泊が増えると、ゴミとリネンの運用も変わります。3泊を超える予約が入る宿は、中間清掃を入れるかどうかを先に決めておいてください(民泊のゴミ出しと近隣トラブルを防ぐ運用)。
値下げ以外の手を持つ
福岡市の民泊は2年で890件から2,028件(約2.3倍)に増えました。物件が増えれば、同じ立地で並ぶ宿の数も増えます。ここで最初に値下げに手が伸びると、下げ続けることになります。価格以外で選ばれる要素は次の4つです。
- レビューの数と中身。同じ価格なら、レビューのある宿が先に埋まります。特に清潔さの項目は価格より効きます(Airbnbの清潔さ評価を上げる清掃チェックリスト)
- 写真の1枚目。検索結果で最初に見えるのは価格と写真です。部屋の広さが伝わる引きの画と、清潔さが伝わる水まわりを入れてください
- 返信の速さ。問い合わせへの返信時間は予約率に直結します。当社の自社宿は返信率100%を維持しています
- 掲載文の最初の2行。立地の具体(最寄り駅から徒歩何分、何が近いか)を先に書きます。雰囲気の説明はそのあとです
この4つを整えると、同じ立地でも価格を下げずに埋まるようになります。下げるのはいちばん最後の手です。
価格を動かす頻度と、やってはいけない動かし方
- 週1回は見る
- 2か月先までの埋まり方を見て、埋まっていない日を下げ、埋まりが早い日を上げます。放置すると、安い価格のまま繁忙期に突入します
- 直前の値下げは幅を決めておく
- 3日前に空いていたら何%まで下げるかを先に決めます。その場の判断で下げ始めると、下限がなくなります
- 上げるときは一度に大きく動かさない
- すでに予約が入っている日と同じ週で極端に差をつけると、先に予約した人の目に触れたときに不満になります
- イベント日は日程が出た時点で押さえる
- どんたくや山笠のように日程が決まっている需要は、公表された時点で価格を入れておきます。直前では遅いです
価格の調整まで含めて任せる場合は民泊運営代行が対象です。当社は自社の宿 AKARI・AZETA で同じ作業を毎週やっています(自社宿のページ)。
よくある質問
民泊の価格はどのくらいの頻度で変えるべきですか?
週1回は見てください。2か月先までの埋まり方を確認し、埋まっていない日を下げ、埋まりが早い日を上げます。放置すると安い価格のまま繁忙期に入ってしまいます。博多どんたくや博多祇園山笠のように日程が決まっている需要は、日程が公表された時点で価格を入れておきます。
福岡で宿泊単価を上げられるのはいつですか?
桜の時期(3月〜4月上旬)、大型連休(4月末〜5月初め)、博多どんたく(5月)、博多祇園山笠(7月)、夏休み、紅葉(10〜11月)、年末年始です。年末年始が1年でいちばん強く、11月のうちに価格と清掃体制を固めておくのが確実です。
連泊割引をつけると損になりませんか?
なるとは限りません。清掃費は予約1組につき1回かかるため、平均2泊の宿が平均3泊になると、同じ180日を売っても清掃回数が90回から60回に減ります。1回7,000円なら年間21万円の差です。割引率と清掃費を並べて計算してから決めてください。
周りの宿が値下げしてきたらどうすればいいですか?
値下げは最後の手にしてください。福岡市の民泊は2年で約2.3倍に増えており、下げ合いに入ると下げ続けることになります。先に動かすのはレビュー(特に清潔さ)、写真の1枚目、問い合わせへの返信の速さ、掲載文の最初の2行の4つです。
本記事は2026年11月4日時点の情報をもとに作成しています。福岡の需要期と民泊件数は2026年9月時点で確認した公開情報・報道によります。価格の置き方は物件の立地と定員で変わるため、目安としてお読みください。